A.LEAGUE新マネジャー 工藤氏に聞く

2022年、A.LEAGUEは新しいチャレンジとしてリーグマネジャーを公募しました。短期間に4名のご応募をいただき、面談と選考を行った結果、工藤 陽介氏(44)に今シーズンのA.LEAGUEの発展を託すことに。

工藤氏は高校卒業後、トライアスロンのアスリートとしてパースに拠点を移しました。その後、シドニーにあるオーストラリア体育大学に入学し、障がい者スポーツを専攻。シドニーオリンピックで現地入りしたソフトボール女子日本代表チームのスタッフとして活躍されました。

シドニー・スワンズのファンとなって帰国した後も数々のスポーツ団体にて活躍した経歴を持つ工藤氏にインタビューを行いました。


留学がきっかけでオーストラリアンフットボールを知る

ー応募したきっかけは?

オーストラリアの体育大学に留学していたときにオーストラリアンフットボールを初めて知りました。AFL JAPANのWEBサイトを定期的にチェックしていて、今回A.LEAGUEマネジャーを募集されていることを知り、仕事としてスポーツに関わってきた今までの経験を生かせると思いましたし、自分のスキルアップにもつながると思い応募しました。

シドニーオリンピックやスペシャルオリンピックス日本にも貢献

―どのようなスポーツ団体でお仕事されていたのですか?

初めてスポーツ団体と関わったのはソフトボールの女子日本代表チームです。スタッフとして関わらせていただく中で、チーム運営や協会の動きを肌で感じていました。シドニーオリンピックの際に通訳のお手伝いもさせていただきましたし、オーストラリアに合宿に来た男子チームのサポートもしていました。

帰国後はスペシャルオリンピックス日本でスタッフとして仕事をしました。当時はNPO法人(現在は公益財団法人)で小さい組織でしたので、運営していく中で多くの苦労もしましたし、たくさんのことを学ばせてもらいました。

現在は一般社団法人を立ち上げて、障がい者スポーツの普及に携わっています。

激しく熱いオーストラリアンフットボール

―オーストラリアンフットボールの印象はどうですか?

激しくパワフルなスポーツという印象です。私は体が小さいので自分にはできないなと。ボディーコンタクトが激しく、マークコンテストも魅力的ですね。私はトライアスロンをやっていましたが、スポーツの質が全く違います。留学中に遊びでプレーしてみましたし、スタジアムでAFL観戦にも行きましたが、非常に魅力的なスポーツだと思います。

日本にいるときは知らなかったのですが、オーストラリアでの盛り上がりに驚きました。シドニーに住んでいたときに観戦に行っていたので、友人の勧めもあってシドニー・スワンズファンになりました。赤と白のユニフォームを買って、SCG(シドニー・クリケット・グラウンド)で熱く応援していましたよ。

日本でもプレーしているのは驚き

―日本のリーグを観たことはありますか?

会場に足を運んだことはありませんが、協会のサイトで情報を見ていて、YouTubeの映像も見ていました。日本でもプレーしているのを知ったときは驚きましたね。オーストラリアの方の体格と比べると劣る部分もありますが、日本人の特徴を生かしたプレーができるとよりレベルが上がると感じます。

オーストラリアの方のクラブがあるのもすごくいいですね。交流もできますし、ひとつのリーグで様々な国の方が切磋琢磨しているのは珍しいと思います。

まずは知ってもらうこと

―A.LEAGUEで課題となりそうな部分はありますか?

まずは知ってもらうことですね。私が取り組んでいる障がい者スポーツとも共通するのですが、知ってもらうことが大切だと思います。今まで取り組まれてきたことも聞かせていただきながら、積極的にイベントを行ったり、プレスリリースを活用したり、知ってもらうことのアイデアを出していきたいです。

あとはオーストラリアンフットボールで使用されている言葉やルールを分かりやすい言葉に変換して、YouTubeなどで紹介していきたいですね。どうしても専門用語が出てきてしまうので、誰にでも分かる解説が必要です。

クラブ数を倍にする

―どのようにA.LEAGUEを発展させていきたいですか?

今回はひとまずワンシーズンの契約で期間内に大きく展開するのは難しいのですが、長いスパンで考えていくと、関東周辺にあるクラブ数を倍に増やしたいですね。昨シーズンは5クラブが参加していると聞いているので、10クラブくらいに発展させることができればと思います。

GO.LEAGUEとの兼ね合いもありますが、関東圏だけではなく、参戦してくれるクラブを増やすことが当面の目標です。日本全国でオーストラリアンフットボールがプレーできる環境ができると嬉しいです。

あとはグラウンドの確保が難しいので、専用グラウンドやホームグラウンドの確保も視野に発展させていきたいですね。

日本のスタイルで戦ってほしい

―A.LEAGUEのクラブに求めることはありますか?

オーストラリアのリーグとの体格の違いが出てくる中で、日本らしいオーストラリアンフットボールの形を見せてほしいです。抽象的になってしまいますが、激しいタックルをはじめとするダイナミックなプレーはとても魅力的なのですが、もっと色々な方が挑戦できるようなスタイルを見つけてほしいですね。

競技の特性があるのは承知の上で、日本のスタイルにあったようなスピード感あるプレーとか、バウンシング(ボール地面にバウンドさせながら走り続けるプレー)を生かしたプレーも見てみたいです。

日本の得意なスピード感を出すことで活躍できるプレイヤーが増え、競技力が向上し、A.LEAGUEから世界で活躍できるプレイヤーが出てきてほしいと感じています。

日本語でも英語でもコミュニケーションが第一

―マネジャーとして発揮したいスキルはありますか?

コミュニケーションのスキルは非常に大切だと思っています。スペシャルオリンピックス日本で働いていたときも47都道府県にある支部と連絡を取りながら、時には出張もして各組織の発展をサポートしてきました。

様々な方とコミュニケーションを取るのは苦ではありませんし、どちらかと言えば好きですね。オーストラリアに留学していたので英語でもコミュニケーションが取れます。ただ、日本に帰ってきて時間が経っているので、英語のリハビリは必要かもしれませんが。

自分を信じて皆さんを信じて仕事に取り組んでいきます。

新型コロナウイルスに負けない

―ここ2年間は新型コロナウイルスの影響が出ていますが。

オーストラリアンフットボールは屋外スポーツなので、感染リスクは比較的少ないとは思いますが、コンタクトスポーツなので気を付けないといけない部分もあると思います。

ただ、これ以上スポーツ活動を止めたくはないですね。日々の健康観察を怠らず、運営側が感染予防策を取ってリスクをマネジメントした上で、リーグを運営していきたいです。

一緒にプレーしてみませんか?

―開幕を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

日本らしいオーストラリアンフットボールを見せていきたいです。それぞれのクラブとコミュニケーションを取りながらアイデアを出して、オーストラリアンフットボールが本来持っている魅力だけでなく、そこに日本らしさも加えていきます。

そして、多くの方に「一緒にプレーしませんか?」と呼び掛けていきたいです。レクリエーション用のルールも知っていただいて、皆さんが気軽に体験できる場も提供していきます。

是非新しいA.LEAGUEを楽しみに待っていてください。


時節柄、オンラインでのインタビューとなりましたが、画面をとおして柔和な人柄の中にA.LEAGUEを引っ張っていく決意を感じました。

オーストラリアンフットボールの本場での盛り上がりを知りつつも、ご自身はその世界を俯瞰してみていた工藤氏。新しい視点を持って、新しい感覚で、A.LEAGUEの魅力を発見し発展させていく、2022年のシーズンが始まります。

今シーズンも変わらないご声援をお願いします。

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