第5回  キック力は、世界標準!NFLで活躍した元AFL選手達

第5回  キック力は、世界標準!NFLで活躍した元AFL選手達

2018年10月26日 0 投稿者: Hideki Miyasaka

オーストラリア No.1スポーツである、オーストラリアン・フットボールは、その競技人口も多く、選手達は幼い頃から、常に厳しい競争の中にさらされている。その競争を勝ち抜いたエリート達が集まるのが、AFLであるわけだが、その頂きに到達したAFL選出達は、結果としてとんでもないキック力を身に付けている。そして、その才能を生かし、アメリカン・フットボールという異種競技に挑戦し、NFLでPunterとして活躍した、元AFL選手達を紹介したい。

 

元AFL選手のパイオニア ~Darren Bennett~

西オーストラリア出身のDarren Bennettは、1987年に、West Coast EaglesでAFL選手(当時はVFL)としてのキャリアをスタートさせる。その後、Melbourne Demonsに移籍すると、瞬く間にクラブのキー・フォワードとなり、1991年には、87ゴールを記録。1990年代初頭のAFLを代表するフォワードとなったBennettだったが、度重なる怪我の影響で、徐々に出場機会を減らすと、1993年シーズンをもって、28歳の若さで、AFL選手としてのキャリアを終える。

 

引退したその年に結婚したBennettは、新婚旅行先のアメリカで、NFLのSan Diego Chargersのトライアウトを突然受ける。AFL時代、50メートル・アークの外から、度々ゴールを陥れていたBennettのキック力は、Chargersの首脳陣を感心させ、チームのPunterとしての契約を勝ち取る。

 

1995年シーズンから、レギュラーのPunterとなったBennettは、その年のNFL Putting Average(1パント当たり平均ネットヤード数)2位にランクされる。その後、2003年までChargersで活躍し、後に、NFL 1990s All-Decade Teamに、唯一オーストラリア出身の選手として選出されている。

 

引退後も、Punterの指導者として、アメリカに在住するBennettだが、元AFL選手としてのパイオニアという側面だけでなく、『オージー・ルールズ・キック』、つまり、『ドロップ・パント』をNFLに普及させた選手として、NFLの世界でも広く知られている。

 

AFL Melbourne時代(左)と、アメリカン・ドリームを掴んだNFL時代(右)のDarren Bennett

 

オーストラリア人初のSuper Bowl 出場 ~Ben Graham~

1992年のPre-Seasonドラフトで、全体の40位でGeelong Catsに指名されたBen Grahamは、翌1993年には早くも一軍でデビューを果たす。196cmと恵まれた体格を生かし、Centre Half ForwardやCenter Half Backというキー・ポジションをこなし、瞬く間にクラブの中心選手としての地位を確立する。1999年に、クラブのBest&Fariest (チームの年間MVP)に輝くと、翌年の2000年から、チームのキャプテンに就任し、2004年の引退まで、219試合に出場した。

 

現役当時から、キック力(特にロングキック)に定評があったBen Grahamは、1997年頃から、NFLの数チームからアプローチがあったとされる。しかし、Geelongでのキャリアを優先させ、豪州に留まることを選んだことにより、NFL挑戦はないと思われたが、引退後に31歳となった2005年に、New York Jetsのトレーニング・キャンプに参戦し、世間を驚かせる。

 

2005年に、New York Jetsの正式なPunterとなり、2006年に6年 517万ドル(約6億円)の契約を結び、AFL時代の数倍の年俸を得ることとなる。その後、New Orleans Saintsを経由し、Arizona Cardinalsに移籍したBen Grahamは、2009年には、オーストラリア出身の選手としては初めて、NFLのSuper Bowlに出場する。2011年に、Detroit Lionsと、1年890万ドル(約10億円)の契約を結んだものの、翌年の2012年にリリースされ、そのままセカンド・キャリアに終わりを告げる。

 

なお、AFL時代の1995年に、Geelongの一員としてGrand Finalに出場しているBen Grahamは、

『NFLのSuper Bowlと、AFLのGrand Finalの両方に出場した、世界で唯一のアスリート』ということになる。

Darren Bennett 程の実績は残せなかったものの、 オーストラリア人初のSuper Bowl 出場という偉業を成し遂げた、Ben Graham

 

33歳の最年長ルーキー ~Saverio Rocca~

イタリア系の家庭に生まれたSaverio Roccaは、196cmの恵まれた体格を生かし、メルボルン郊外のDiamond Valley Football Leagueでフォワードとしての頭角を表す。1991年にAFLの人気クラブ、Collingwood入りを果たすと、1993年のシーズンに73ゴールを記録し、チームのリーディング・ゴールキッカー(得点王)に輝く。その後、1999年まで7年連続でチーム得点王に輝くなど、Sydney Swans経由で、Collingwoodに移籍してきた弟のAnthony Roccaと共にチームの攻撃陣を牽引し、人気クラブのスターとしての名声を得る。

 

2000年にNorth Melbourneへ移籍すると、更にゴールを積み重ね、32歳の引退まで、2クラブ合計、257試合、748ゴール(VFL/AFL歴代14位) を記録する。

 

パイオニアのDarren Bennett同様、50メートル・アークの外からのロングゴールを度々決めていたSaverio Roccaは、現役時代から、引退後のNFL挑戦を意識していたとされるが、2007年、North Melbourneで、現役最後の試合を終えたSaverio Roccaは、翌週には早速渡米し、NFL  Philadelphia Eaglesのトライアウトを受ける。プレシーズンを経て、正式なPunterとなり、NFL史上最年長の新人(33歳)としてデビューを果たすと、42 ヤードのシーズンPutting Averageを記録する。

 

2011年から、Washington Redskinsに活躍の場を移すと、2013年までプレーし、オーストラリア出身選手としては3位となる、112試合出場という記録を残す。なお、引退後は、オーストラリアに戻り、現在はCarltonのゴールキッキング・コーチを務めている。

NFLに挑戦した元AFL選手としては、ずば抜けたAFLでの実績を誇る Saverio Rocca

宮坂 英樹
1972年7月1日生まれ。父親の仕事の関係で、オーストラリア・メルボルンで、幼少期を過ごす。1994年に、VAFA(Victoria Amateur Football Association) 3部リーグでプレー。国内では、Eastern Hawks等でプレーし、2007年現役引退。現一般社団法人日本オーストラリアンフットボール協会会長。

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