【Skills of Australian Football】チェストマーク

【Skills of Australian Football】チェストマーク

2018年10月22日 0 投稿者: Oko Compton

 最もシンプルなマーク方法ではあるものの、正面でしっかりつかむ力と判断力(チェストマークで受けるかハンドマークでとるか)を要するマークでもある。チェストマークを受けようと待っていることにより、相手ディフェンダーがスポイルするチャンスを増やしてしまう。

 

長身で力強いフォワードポジションにとって、グラウンドの真ん中を駆け抜けながら、今まさに自分がいる方へとボールを蹴ろうとしているチームメイトを見る時ほど興奮することはないだろう。トレーニングで何度も繰り返し練習した時と同様に、チームメイトが蹴ったボールがドンピシャで自分の胸のど真ん中に落ちてくれれば、自分のペースを乱す必要はないが、現実はそうもいかない。

 

ホーソーンFCの全盛期であった1980年後半から1990年前半、ジェイソン・ダンストールは、ダリン・プリチャード、ダレン・ジャーマン、もしくはジョン・プラットンが、ボールを手に自分の方向へ向かって走っているのを見た時は、よく舌なめずりをしたものだ。

 

チェストマークは、キックパスを受ける際において最も安全で危険のない方法であるとみなされている。目を閉じて、ノースメルボルンFCとアデレードFCのスーパースター、ウェイン・キャリー、そしてプレミアシップ3冠選手、ブリスベンライオンズFCのジョナサン・ブラウンの2選手を思いだしてみてほしい。きっと両選手が、自らにさらなる挑戦を強いて、ボールをしっかり胸に抱え込んでいるイメージが浮かぶだろう。どちらの選手もパック(ボールを奪い合う集団)を突破し、胸の中にマークする能力があったため、彼らのチームメイト達は皆、ゴールスクエアに向かって行けば、ボールは安全に彼らの手にわたるとわかっていた。

 

相手チームが投入できる限り最も大きい、そして最も強いディフェンダー達と対戦してきたダンストールやキャリー、ブラウン、そしてセイントキルダFCとシドニーFCの伝説、トニー・ロケット、エセンドンFCのマシュー・ロイド、そしてホーソーンFCのチャンピオン、ピーター・ハドソン達のようなフォワードスター選手達は、ボールをマークする能力で強さを試されたものだ。

 

 

「90年代のフッティーを観てきた僕らのような若い選手の多くは、強力なタイプの選手なら間違いなくウェイン・キャリーを見習ったね。」とブラウンは言う。「それ(チェストマーク)が数ある彼の強さの一つだったからね。」

 

「1クオーターにつき、3つか4つはマークをとろうとしていたんだ。マークが12回とれる日は良い日だったね。当時は1対1のコンテストがほとんどだったため、ボールをマークする状況が今とは違ったんだ。」

 

ディフェンダーがボールに手を届かせ、パンチしてボールを遠ざけるのをより難しくするために、コーチ達は、胸から離れた場所、つまり指の先で選手達がマークを勝ち取るのを好むのにも関わらず、チェストマークは、全ての選手が(彼らのグラウンド上でのポジションに関わらず)隠れた武器の一つとして持っておくべき技とされているのだ。雨天の場合は特にそうである。

 

「週に1度はディフェンダー達の1人と、1対1でのコンテストマークをとる練習をしたものだったよ。」とブラウンは言う。「ハンドマークにしろチェストマークにしろ、コンテストマークをとらないといけない状況は多くあったからね。」

 

「僕がチームメイトにいつも言っていたことは、僕に完璧なパスを送る必要はない、自分は相手選手と1対1で競うチャンスが欲しいだけだ、ということなんだ。チームメイトがボールを素早く蹴ってくれるだけで良かったんだよ。なぜなら調子の良い日には、1対1なら誰とでも競うことができると思っていたからね。僕のキャリアの中で、自分は無敵だと感じる時、あまり良くないと感じる時があったけど、自分の力を発揮して十分に競うことができれば大抵の場合は大丈夫だっていう父の言葉がいつも耳に鳴り響いていたよ。」

 

 

ハドソンもまた、1対1の勝負のチャンスを切望していたと言う。なぜなら、彼は自分の強さによって勝つことができるとわかっていたからだ。

 

「押してきたり突いてきたり、僕と並んで、または僕の真後ろでプレーしたがるような奴らとプレーするのが大好きだったんだ。なぜなら彼らに触ることなく、彼らがどこにいるか僕はわかっていたからだよ。」

 

「ディフェンダーが自分が思うとおりに動いたときはたまらなく嬉しかったよ、なぜなら僕の方がその状況を良くコントロールできたし、自分の身体の力を使って彼らを遠ざけておくことができたからね。」

 

高くジャンプすることで知られていたわけではないハドソンだが、強力な腰を使って相手選手をコンテストゾーンから押し出し、地に踏ん張ってチェストマークをとるという彼の能力は、彼が試合で勝つための秘訣だった。

 

ロイドやキャリーが認めるように、可能な限り多くのコンテストを獲得したいという彼の意欲が、より多くのマークを獲得し、試合により多く貢献することを可能にさせたのだ。「僕には多くのコンテストに入る機会があった。それがセンターハーフフォワードの主な仕事だからね。いったんそのポジションに入ったら、相手と強く競り合うことができたんだ。」

 

1990年代は、現代と比べてより多くの1対1コンテストが要求されていた。今日では、1試合の中でのノーコンテストマーク率が非常に高くなってきている。このため、チェストマークが未だかつてなく重要なマークとして生き残っているのだ。チェストマークを落としてしまうと、ターンオーバーとなってしまい、ほとんどの場合それが原因となり相手チームにゴールを決められてしまうということが毎週起こっている。他のスキルと同様に、ボールを胸で受けるその時までボールから目を離さないことが、チェストマークをコントロールすることにおいて最も重要な点なのだ。そうすることで、コーチもハッピーになり、チームメイトもハッピーになり、自分にとってはボールの支配権を持つことになり、ゲームを自分の手中に収めることにつながるのだ。

 

チェストマークのつかみ方

 

1.アプローチ
キッカーに向かってリードしながら真っすぐ走り出し、ボールの飛行に沿って真っすぐ身体を動かしながら、ひたすらボールを見続ける。

2.準備
ボールに向かって最後の2歩を踏みだしながら、両方の腕を上げてマークする準備をする。注意:両方の手と前腕がボールの下にいく準備ができていること。

3.ドロップダウン
ボールが身体に接近してくると、胸の高さでボールを受けるために身体を落としながら前進し続ける。指と手は伸び、手のひらは上に向け、両肘をわきにたくし込みはじめる。

4.マーク
自分の手と前腕の中でボールを受け、胸の中にガイドする。マークがスポイルされないよう、両肘はわきにたくし込んだままボールを胸の中にしっかりと抱きとめることによりマークを完全なものにする。

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