
【Skills of Australian Football】ピックアップ
2019年1月11日単純なスキルのように見えるが、練習と冷静な判断力を要するスキルだ―片手でとるかそれとも両手か? その答えは、プレーヤーがペースを崩すことなく思い切り走ることができるならばどちらでも、である。
バウンドし回転しているボールを上体を倒して拾い上げ、バランスを保ったまま自分の走る速度も維持し続けることができるというのは一つの芸術である。ジロングFCのジョー・セルウッドやパトリック・デンジャーフィールド、カールトンFCのデール・トーマス、ウェストコーストFCのルーク・シューイのようなチャンピオン選手達は皆、プレッシャーの中でも一歩もペースを崩すことなくボールを完璧に拾うことができるトップクラスの司令塔である。
セイントキルダFCのロバート・ハーヴィー、ブリスベンFCのルーク・パワーとジェイソン・アカマニスのような元スター選手達もまた同様であった。その選手達が皆片手でボールを拾い上げる能力を保持する一方で、動きながらボールを拾いあげるのを学ぶのに一番の方法は両手で静止しているボールを拾い上げる練習をすることであると語る。そうすることで初めて、両手で繰り返しボールを拾い上げる自信がつき、そうなればピックアップのスキルを片手での練習に切り替えることができる。
パワーによれば、一番良いのは、自分の手に入るまでボールから目を離さないことだという、「ボールから目を離さず、頭をできるだけボールに近いところまでもっていくこと、頭がボールから離れているとワンタッチでボールをつかむのが難しいからね。」そしてブラウンローメダルを2回獲得したハーヴィーも、ボールに集中すると、身体はわずかにかがんだポジションになり、右利きの選手であればボールの左側からアプローチしていく、と説明する。「両ひざを使って身体を下げ、腰部から上半身を折り曲げるんだ。」それから、重要なのは、「ぶつかってこられた時に備えてこのポジションで自分の身体を構える方法を習得すること。右手を使ってボールの後部から、左手の場合はボールの前部からピックアップするんだ。」
この練習手順を開始するにおいてのハーヴィーのアドバイスは、まずは歩きながら静止しているボールに向かっていく、それに慣れてきたらゆっくり走りながら行い、それからボールに向かって走っていく練習に変えていく、というものだ。「反対側からボールに向かって行く練習も必ずすること、そうすれば身体の両側を使う練習になるからね。」
動いているボールを拾う際のカギは、まず常にボールから目を離さないこと、そして横からボールに向かって行くのではなくボールの後ろ側から近づいていくようにする、そうすればボールがバウンドしながら通り過ぎてしまうことがない。「掌は必ず開いている状態で近づいてくるボールに向いていること。」と、ハーヴィーは言う。
より素早いのは片手でボールを拾うほうだとパワーが認める一方で、成功率の高いオプション(より安全なオプション)は、地面が濡れている状態であれば特にそうだが、両手を使ってボールを拾うことである。少しでもボールから目を離せば、その分ボールを取り損ねてしまうリスクを負う。全体的なボールを扱うスキルを上達させる良い方法は、できるだけ頻繁に、常にボールに触れることだ。ボールをトスしたり、走りながらボールを拾ったり等、ボールを扱う回数が多ければ多いほど、ボールがどれだけいろいろな方法でバウンドするか、自分の手の中でどのようにボールを感じるかに広い理解を得ることができるのだ。その他のスキルと同様、習うより慣れろ、である。
「子ども時代は、とにかく何もかもを練習することだね。」とパワーは言う。「子ども時代なんて、練習じゃなくてむしろ遊びだからね。できるかぎりたくさんグラウンド上でボールを蹴ったりボールを拾ったりすることだ。」
ボールを拾う時は...
ボールが静止しているかゆっくり動いている場合は片手でボールをピックアップするのが普通である。完全にボールをコントロールするためには両手でのピックアップが最も安全な方法であり、ボールが動いている場合は、試合中はほとんどがそうだが、両手でのピックアップが重要になる。
ピックアップの仕方
1.アプローチ
ルーク・パワーはボールに向かって走りながら目はボールに集中している。右手で楽にボールが拾えるようボールの片側からアプローチする。右脚が今まさにボール近くに着地しようとしおり、ピックアップの動きをとるため身体は下がり始める。
2.クラウチ
右脚がボールの横わずか後ろの地面に着き、右膝を曲げ、右腕は下げる。掌は開き、指をわずかに開いて下に向かせ、ボールの下に入れる準備をする。身体はボールの近くに保ち、頭でボールをおおうようにする。
3.スクープ
身をかがめて右手をボール下に入れる。右脚を地面につけたまま左足は前進し続ける。右手がボールに届き、左腕は身体の外側へ向かって上げていきバランスをとる。
4.カミングアップ
ボールに集中したまま、かがめた状態から身体を上げていき、右手でボールを持ち上げボールをしっかりつかめるよう左手もボールの方にもっていく。
5.ポセッション
両手でボールをつかんだら、頭を上げボールをパスするオプションを探す。ボールを運びながら手または足でパスする準備をする。フィールドを見ながら攻撃オプションを探す。