【Skills of Australian Football】マーク

【Skills of Australian Football】マーク

2018年7月13日 0 投稿者: Oko Compton

始まり以来のゲームのハイライトであり、空中技と勇敢さが融合するスキル、【マーク】。そして【Hanger】は、オージールールを象徴する代表的なスキルの一つだ。

 

オーストラリアンフットボールは、様々な意味でユニークである。走りながらのバウンドや、オフサイドルールが無いことにより、プレーヤーがグランド中を自由に走り回ることができること、そしてマーク(特にハイマーク)は、プレーヤーにもサポーターにも共通して常に人気が高い技でありつづける。しかし、初期の頃、マークは、ゲームの主役ではなかったのだ。1880年代、エセンドンFCのチャールズ・【コモーション】・ピアソン(彼の叔父が、1884年のメルボルン杯で2着についた競走馬【コモーション】のオーナーであったことにちなんで名づけられた)が、相手の背中に飛び上がり、未だかつて見たことのないオーバーヘッドマークを使い始めた頃から、このマークの『改革』が徐々に発展していくこととなった。

ある新聞社がこう伝えたことがあった。「ミスター・ピアソンは、ロケットのように空中へ跳躍しリスクを負う中......もしかするとこれがハイマークの新しい改革になるのかもしれない。全てのプレーヤーがこの新しいアイデアを取り入れれば、ゲームは大変スリルのある、驚くべき見物になり得るだろう。」

ハイマークはプレーヤーが使うことのできる3つのマーク方法の内の一つである。ハイマーク、またの名を【Hanger】のほかに、チェストマークとハンドマークがあり、リードしている状況や、地面が濡れている状況どちらにおいても、体の接触がわずかな、もしくは全くない場合にマークを試みる時は特に、チェストマークが全てのマークの中でも最も安全と言えるだろう。相手選手が後ろから、またはパック(ボールを奪い合う選手が群がっている状態)で、スポイルしようと試みられてしまう場合に、腕を伸ばしてボールを確保し、相手からのスポイルを阻止する方法として、ハンドマークが重要になる。しかし、正しくボールを掴まなければ、ボールが指の間を滑りぬけてしまうようなエラーになる可能性もあり、このようなリスクは地面が濡れた状態により多く起こりやすくなる。

1試合のなかで使われるのは、チェストマークまたはハンドマークが大多数を占めているが、ハイマークが3つのマーク方法の中でも最も豪快なマークであることに疑いの余地は無い。現に、フットボールのアイコン的写真の内いくつかは、プレーヤーが完全に相手選手の上に飛び上がっている、または相手が不可能かに見えるマークをつかむ写真をカメラマンが捉えたものなのだ。一番初期のものとして、一流、ディック・リー(1922年にゴードン・コヴェントリーにそのバトンを渡すまで、コリンウッドFCのゴールキック賞を11回勝ち取ったシャープシューターである)の写真等が挙げられる。

1930年代に、サウスメルボルンのボブ・プラットがまさにそうであったように、エセンドンFCのジョン・コールマンは、1940年代後半から1950年代前半において、ほぼ毎週この妙技を披露していた。1970年代には、ホーソーンFCのピーター・ナイツが、1990年代には、アデレードFCのトニー・モドラ, ジロングFCのギャリー・アブレット、リッチモンドFCのマシュー・リチャードソンが、さらに現代になると、アデレードFCの【バードマン】ブレット・バートン、ノースメルボルンンFCのドリュー・ペトリー、ポートアデレードFCのジェイ・シュルツ、メルボルンFCのジェレミー・ハウ、そしてセイントキルダFCのジョシュ・ブルース達が、ボールが彼らの周辺に蹴られた時にはいつでも、この妙技を披露することにより【観衆を興奮の渦に巻き込む伝統】を引き継いでいるのである。

力強さの象徴で言うと、チェストマークもハンドマークも、力強いフォワード、ウェイン・キャリー(ノースメルボルンFC、アデレードFC)、ジョナサン・ブラウン(ブリスベンFC)、ニック・リーウォルト(セイントキルダFC)達が、安定的に実行してきている。ブラウンやリーウォルトによる、極度に危険な瞬間にとらえたチェストマークは、2つの史上最も素晴らしいマークというだけでなく、最も勇敢なマークであることは間違いない。

しかし、ブラウンがパックにぶつかっていくことも恐れず、ボールを胸の中にとらえるのに対し、コーチ達は、選手に対し、ほとんどの場合、スポイルされてしまうリスクが低いハンドマークを促している。

ダンストールやエセンドンFCのマシュー・ロイド、セイントキルダFC、シドニーFCの伝説トニー・ロケット等のチャンピオンフォワード選手は皆、空いたスペースに蹴られたボールを走って追い、しっかりとボールを握って離さない。現代のフォワード、グレーターウェスタンシドニーFCのジェレミー・キャメロン、リッチモンドFCのジャック・リーウォルト、そしてウェストコーストイーグルズFCのジョシュ・ケネディーは皆、胸で受けとめようが、伸ばした手で掴もうが、相手の背中の上にジャンプしてであろうが、マークを勝ち取る見込みが大変高い選手たちだ。

しかし、マークはフォワードだけに限定されているわけではなく、優秀なディフェンダーの多くが、対戦相手からマークを勝ち取り有利になろうとしているのだ。一昔前は、ボールをパンチしてスポイルし、グランド上に戻すことがディフェンダーの仕事であったが、今日のコーチ陣は、ディフェンダーのインターセプトマークの能力によってゲームプランを立て、ボールをディフェンス態勢から素早くアタック態勢に戻そうとするのである。1970年、ノースメルボルンFCのデイヴィッド・デンチに並び、2000年代のジロングFCのマシュー・スカーレットは、マークとリバウンド【アート】のスターであった。ノースメルボルンFCのスコット・トンプソン、エセンドンFCのケール・フッカー、そしてホーソーンFCのプレミアシップ3冠デュオ、ブライアン・レイクとジョシュ・ギブソンは皆、過去も現在もこの【アート】の達人なのである。レイクの、4人の選手が固まっているパックから離れて待ち、マークを獲得する(しかもノンコンテストマーク)能力は、彼の素晴らしいキャリアの中でも長く記憶に残るものとして存続しているのだ。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で