【Skills of Australian Football】ウェイトキック(Weighted Kick)

【Skills of Australian Football】ウェイトキック(Weighted Kick)

2018年1月10日 0 投稿者: aflnews

1949年、若かりし日のジョン・コールマンは、デビュー戦で12ゴールを挙げるという偉業を成し遂げた。それ以降の6シーズン、コールマンは、速いリードと強いハイマーク、正確なゴールキックで観客を魅了した。幸運なことに彼は、ディック・レイノルズとビル・ハッチソンという、多くのボールを供給してくれる卓越したオンボーラーに恵まれていた。ちなみに、ディック・レイノルズはブラウンロウメダルを3度、ビル・ハッチソン2度獲得している。しかし間もなく、相手ディフェンダーはダブルチームでコールマンを抑え始めたため、チームメイトはフルフォワードへボールを送るために他の方法を探さなければならなかった。

ハッチソンの息子のブルースの話すところによると、コールマンは彼の父に、自分の卓越したジャンプ力とタイミングを活かしてマークするために、相手の頭を越えるボールを蹴りこむように、または、彼のスピードを活かして相手よりも前でマークを獲るためにスペースへボールを蹴るよう指示を出していた。コールマンにとって有利だったのは、ハッチソンがとりわけスキルフルなプレイヤーであり、チームメイトにアドバンテージを与える彼のウェイトキック(Weighted Kick)が、他のプレイヤーよりもすぐれていたことだ。

そして50年が経ち、コールマンの背番号10を背負ったボマーズのマーク・マクベイは、フルフォワード マシュー・ロイドへウェイトキックを蹴っていた。マクベイは、彼の弟ジャロッド(2012年にプレミアシップをとったシドニー・スワンズのキャプテン)と共に、ウェイトキックを何時間も何時間も練習するのが好きだった。ウィリアムズタウン(Victorian Football Association、現VFL)のプレイヤーであった彼らの父トニーは、トランポリンに印を描き、子供たちに、ボールがターゲットに弧を描いて落ちるように練習させ、さらには、トランポリンを横に立てかけ、様々なアングルからそのターゲットを狙う練習もさせた。

「ジャロッドと私はほぼ毎日その練習をしたよ。」マーク・マクベイは話す。「全ていいキックを蹴れるように、毎日一生懸命練習したんだ。」彼がエッセンドンにドラフトされたときには、今や“ウェイトキック”として一般的に知られるキックのエキスパートとなっていた。そして彼は、広いMCGやエティハドスタジアムで、チームメイトに走り込ませるウェイトキックを蹴っていた。マクベイは言う「マシュー・ロイドを例とすると、彼がバックスの裏に蹴れと言えば、僕はバックスの裏に蹴るんだ。そうすれば、彼は相手から距離をとってそこに走り込んでくれる。」

ターゲットの前に走り込むスペースがあっても、裏にスペースがあっても、パスの種類の選択はターゲットとなるプレイヤーによって変わることがある。1960年代、ボマーズのセンターハーフフォワードであったケン・フレイザーは、ハーフフォワードラインにスペースを空けておくことを好んだ。それを知っていたセンターのジャック・クラークは、彼にマークをとらせる時間を与える完璧なウェイトキックを蹴った。また、1960年代後半から70年代初頭のホーソンにおいて、ピーター・ハドソンは、飛んできたボールの下で相手を押してから反転してゴールへ向かうプレーが得意だった。彼のチームメイトだったボブ・ケディーやピーター・クリミンズ、リー・マシューズといったエキスパート達は、ハドソンの裏にボールを蹴れば、彼の判断力とアジリティーを活かしたターンで、ボールへ向かって走ってくれるだろうと確信していた。

あなたのキックでチームメイトにアドバンテージを与えるためのポイントは、普段蹴るようにドロップパントを蹴るが、いつもより‘滞空時間’を長くして、チームメイトに走り込ませる時間を与えることです。

相手が自分の方へリードしていようと、反転してスペースへ走っていようと、その正しい判断をすることこそが、このプレーの基礎となるのです。

アラステア・クラークソンのもとで、ホーソンの選手たちは、アイザック・スミスやブラッドリー・ヒルのような足のあるウィンガーをスペースに走らせバックスからボールを供給する場合でも、ルーク・ブルーストやジャリド・ラフェッドといったリードするフォワードに向かって蹴る場合でも、あらゆるシチュエーションでチームメイトにアドバンテージを与えるキックをマスターしていました。これらを学ぶための最善の方法は、サム・ミッチェル、グラント・バーチャル、ショーン・バーゴイン、マット・サックリング(現ブルドッグス)といったプレイヤーのプレーを見ることです。そしてこのプレーをマスターするには、キッカーはもちろん、レシーバーのハードトレーニングが欠かせません。そして、キッカーのスキルと、レシーバーの走るスピードが完全に一致した時にプレーは成功します。

このウェイトキックをマスターするには、マクベイ兄弟に倣って、家にターゲットを用意することから始めるのが良いでしょう。もしくは、友達に頼んでスペースに走り込んでもらい、ちょうど間に合う位置に、最適な‘滞空時間’でボールを蹴り込む練習をすることです。あなたにもあなたの友達にとっても有益な練習となることでしょう。

 

ポイント

  1. ウェイトキックは普通のドロップパントと同じスキルを使います。しかしこのキックの目的は、’滞空時間’を作りチームメイトが走り込む位置にボールを落とすことです。
  2. このキックは、パワーではなくタッチが重要なポイントです。ボールを呼んでいるプレイヤーが、ボールの落下点に走り込めなければなりませんし、その走り込む勢いを失ってはいけません。
  3. プレイヤーがボールの落下点に走り込むことが重要です。

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