
【Skills of Australian Football】序文
2017年11月15日この連載では、「Skills of Australian Football」に掲載されているコラムを翻訳しご紹介していきます。
「ボールをうまくキックすることができれば、あなたはチームにとって貴重なメンバーになれる。」この言葉はとても簡単に聞こえるかもしれない。しかし、AFLにもエリートレベルのスキルを持つ選手は非常に少ない、ということを知ったらあなたはきっと驚くでしょう。
例えば、過去3回のプレミアシップ(2013-15)を獲ったHawthornなどは、正確なキックのスキルに重点を置いたことがプレミアシップでの成功への決め手となったのです。
そしてその成功と、その成功に至った選択と計画こそが、私がAFLナショナルアカデミーを訪れているすべてのジュニアフットボール選手に、ドラフトの年齢に達するまでに完璧なスキルを身につけることが、クラブのリクルーターの目に留まる最高のチャンスだ、と伝える理由です。リクルーターは常に、高度に熟練したスキルを持つ選手を探しているのです。
もちろん、フットボールには良いキックを蹴ることの他にもたくさんのやることがありますが、もしあなたが基本的なスキル(キック、マーク、タックル、ハンドボールなど)をうまくできないのであれば、どうして最高のフットボール選手になれるでしょう?
私がクロウズで基本を徹底的にコーチした選手の例は、ロリー・スローンでした。ロリーは2008年ナショナルドラフトのラウンド3で選出されましたが、我々の分析ではスピードもキックスキルも平均以下のプレイヤーでした。だから、彼の身長(183cm)ではそれら以外に特質を持つ必要があったのです。そしてスローンは、練習に真剣に取り組み、常に改善を求めるという特質を持っていました。彼はすぐに優れた選手となり、3回にわたってクロウズのアワード(Malcolm Blight Medal)のトップ3に入った後、2014年にメダルを獲得しました。
どのレベルのコーチングにおいても、“指導”はとても重要です。AFLレベル、コミュニティレベル、NAB AFL Auskickプログラムでも、プレイヤーを指導することは最重要課題です。
このスポーツは絶えず進化しているため、AFLのコーチは常にこの進化に対応し、新しいゲームスタイルを考案してチームの潜在能力を最大限に発揮できるようにしています。
私は「やってきたこと以上の成果は出ない」という格言を信じています。この競技で最も優れた選手は、トラックの上で最も努力した選手です。エリートとは最も多く改善を行った選手だ、というこの典型的な事実は偶然ではありません。
Nick MaxwellやBrett KirkのようなAFLのプレミアシップキャプテンとなったような選手も、ルーキー・リストからキャリアを開始しました。実際、ルーキー・リストは、Matthew Boyd、Dean Cox、Ben Rutten、Stephen Milne、Luke Breast、Kieran Jack、Josh Gibson、Aaron Sandilands、Danyle Pearceなど、数多くのレジェンド達の出発点となっています。これらの選手は皆、ドラフトにはかからなかったけれども、決意と希望をもって努力し、AFLのレギュラーとなっただけでなく、それぞれのチームに影響力を与える選手となりました。
この”Skills of Australian Football”を読んだ後は、あなたが練習をするときにこの本を辞書として活用してください。そしてフットボールを楽しむことを忘れないでください。