【Skills of Australian Football】キッキング

【Skills of Australian Football】キッキング

2017年12月15日 0 投稿者: aflnews

オーストラリアンフットボールに必要とされるスキルの中で、最も基本的で好まれているディスポーザルの方法がキッキングです。一方で、最近のフットボールではハンドボールのスキルも重要視されてきています。現代の試合では、恐らくこれまでのどの時代のフットボールよりも、(短くても長くても)味方へ正確にパスすることができるプレイヤーとできないプレイヤーとの価値の差が大きくなっています。実際、ホーソンの3連覇達成(2013~2015)は、彼らの素晴らしいキッキングスキルの上に成り立っており、サム・ミッチェル、グラント・バーチャル、ショーン・バーゴイン、シリル・リオリ、マシュー・サックリングといった選手たちの卓越したキッキングスキルに、天性の(そしてよくコーチされた)プレーの判断がマッチした結果でした。

元アデレードシニアコーチで、NAB/AFLアカデミーのコーチとして知られるブレントン・サンダーソンは言います、「ジュニアプレイヤーが第一に取り組むことは、基本スキルを確実にチェックすることです。その中で最も重要なのがキックです。今のAFLには、―最高レベルでの話として―本当にいいキックというものが不足しています。だから我々は、若い年代にキックの構造を理解させることに多くの時間を費やす必要があるのです。そうすれば、その選手たちがAFLへの道を歩み始めるときには、彼らのキックは既に出来上がっています。なぜなら、キックをうまく蹴れないのであれば、AFLにドラフトされることはまずないですし、AFLの試合のプレッシャーの中で、質の高いキックを蹴れるわけがないからです。」

キックには様々なタイプのキックがあり、キックを正確に蹴るには力学とスキルの組み合わせが重要です。その中で、過去30年のフットボールの発展と、トレーニングのプロフェッショナル化にもかかわらず、劇的な改善がなされていないのがゴールキッキングです。だから、AFLでは安定してゴールを決められる選手が求められているのです。ホーソンのジャック・ガンストン、GWSのジェレミー・キャメロン、メルボルンのジェス・ホーガン、ウェストコーストのジョシュ・ケネディーなどは、皆ゴール前で目立つプレイヤー達です。面白いことに、彼らはそれぞれ、自分のキックスタイルやルーティーンを持っています。これは、成功するためには様々な道が存在することを証明しています。

数十年前の試合では、コンテストに長いボールを蹴りこむプレイヤーが多く、現代の試合に比べ、短く正確なキックはチームのゲームプランにおいて重要視されていませんでした。しかし、今のコーチは、ターンオーバーでかき回される恐れから、簡単に相手にボールを与えてしまうことを嫌うため、プレイヤーにショートキックでつなぐよう指示を出します。これが、正確なキックが望まれるようになった理由です。キックするプレイヤーにとっては、ターゲットを見つけることが大変重要となるため、ターゲットとなるプレイヤーは、オプションを作るためほとんど走るペースを落としません。特にリードするフォワードは、ディフェンダーが疲れ果てるほどたくさん走ります。一方、それと同様に、ディフェンスからボールを運ぶ時にも、正確にターゲットに当てることは重要です。プレッシャーのかからないショートキックは、今やチームシステムの最も重要な部分なのです。それはつまり、試合を打開するためにオプションを整える間ポゼッションを維持するということであり、つまりは正確性なのです。ショートキックを繋ぐうちに、それはまるでチェスのように、ボールがハーフバックを横切り(スイッチ)、もしくは中盤のコリドーを通って、ブレークアウトへと繋がるのです。

基本的なスキル

キックはオーストラリアンフットボールにおいて最も重要なスキルです。キックの基本的なスキルは若いうちに教えるべきであり、間違いがあればすぐに修正しなければなりません。プレイヤーが若いうちに正しいスキルを身に付けることが重要です。AFLプレイヤーは毎週の試合で、

  1. プレッシャーの中でのキック
  2. チームメイトへの正確なパス
  3. セットポジションからの、最もアドバンテージを得られる位置へのキックを実践しています。

覚えておくべきポイント

  1. 身体をターゲットに向け、頭を軽くボールの方へ傾け、蹴り足の腿の前でボールを構える
  2. 片手でガイドしながらボールを下す
  3. つま先をターゲットへ向け、ボールが足に当たる瞬間を見る
  4. ターゲットへ向けフォロースルーをとるAFLプレイヤーに最も好まれているのがドロップパントです。トーピードパントは、一般的にロングキックを蹴るために使われます。

 

今日、プレイヤーに最もよく使われているフィールドキックは、手から離れたボールの先がつま先に当たるようにドロップされる、ドロップパントです。

そして、一昔前にはポピュラーで、近年また使われ出したキックが、トーピードパントです。ドロップパントよりも正確に蹴ることが難しい(失敗したときには観客の大きなため息が聞こえてきます)ですが、うまく蹴ることができれば、遠くへ、より早く、魚雷(トーピード)のように飛んでいきます。

現代の戦術はゾーンディフェンスが主流なため、近年では、相手のディフェンスストラクチャーを飛び越えるために、トーピードパントが使われる場面が見られます。例えば、エッセンドンのダスティン・フレッチャーのようなプレイヤーは、フィールドの半分も飛ぶようなトーピードパントで相手ディフェンスを無効化します。また、サイレン後のゴールで最も有名なのは、1976年にノースメルボルンのマルコルム・ブライトが放った80mのトーピードパントでしょう。このゴールによって、ノースメルボルンはカールトンを5点差で破りました。

トリックキックのレパートリーに加わるのが、バナナ(チェックサイド)キック、スナップショット、ドリブルキックです。これらもまた完璧に蹴ることは難しいキックですが、正確に蹴れるようになれば、間違いなく観客を魅了できることでしょう。ノームスミスメダリストのスティーブ・ジョンソン(ジーロング/GWS)は、かつての彼の憧れのスター コーリングウッドのピーター・ダイコスのように、ゴール前の芸術的なプレーで観客を沸かせるプレイヤーの一人です。また、アデレードのエディー・ベッツは、角度のない不可能とも思える位置から、いとも簡単にゴールを決めて見せます。そして今や、この楕円のボールのどこをどう蹴ればどのように飛んでいくかを理解するために多くの練習時間を割くことは、プレイヤーにとって普通になってきています。

そして、もう恐らく永遠に使われることがないであろうキックが、フルバックのキックとして好まれていたドロップキックです。正しく蹴れば、足とグラウンドの力を活かし、ドロップパントのような回転でより遠くに飛ぶこのキックですが、トーピードのようにミスしやすく、このキックを試合の基本的なスキルとして好んで採用するコーチはいなくなりました。

アラン・ダイダック

218試合出場、2010年コーリングウッド優勝メンバー。ダイナミックなキッキングアクションと弾丸のようなパスで知られている。

この一連の写真は、「Skills of Australian Football」の初版(2009)に掲載するために撮影された、完璧なデモンストレーションです。(右利きのプレイヤーは、後出するジャック・ガンストンのゴールキッキングの写真を参考にするとよいでしょう。)

1. アプロ―チ

キックの準備として、ターゲットに向かって走りながらバランスを取り、蹴り足に体重を乗せます。

2. ワインドアップ

力を乗せるために最後の一歩を大きく取り、ボールをガイドしない方の腕は、バランスをとるために後ろへ振ります。

3. インパクト

ガイドしている手でボールを垂直に落とします。軸足は体重をしっかり支え、蹴り足の膝はインパクト後に伸ばすためしっかりと曲げます。ガイドしていない方の手は前に来て、頭はまだボールをのぞき込んだ状態です。

4. フォロースルー

インパクトの後、身体を前及び上へ運ぶように、脚を加速させます。ボールとのコンタクト位置は足の甲の上部、頭はそのままで、ターゲットへ向けてフォロースルーをとります。