【Skills of Australian Football】ゴールキック

【Skills of Australian Football】ゴールキック

2018年2月17日 0 投稿者: aflnews

最も重要なキックはチームの得点を取るキックだ。トッププレイヤーはそれぞれ異なるテクニックを持つが、正確性を上げるためにはとにかく練習、練習、練習!

最も試合を動かすプレーといえば、何といってもゴールキックだろう。チームメイトのいいプレーをゴールキックで締めくくることは今も昔も変わらず重要だ。実際、VFL/AFLのグランドファイナルにおいて相手よりゴール数が少なく勝利した試合は、1968年カールトン7.14(56)対エッセンドン8.5(53)のただ1試合しかない。

 

歴史上もっとも成功率の高いゴールキッカーは、ホーソンのピーター・ハドソン(1試合平均5.64ゴール)。ハドソンはゴールキックの際フラットパントを好んだ。なぜなら、ブーツに触れるボールの面積が多いからだ。最近では、エッセンドンのマシュー・ロイドなどは(ゴールの正確性ではハドソンと並ぶ69%を誇る)ドロップパントを好み、今やほとんどのプレイヤーがセットショットの際はドロップパントを用いるようになった。

 

歴代ゴール数第3位の元ホーソン ジェイソン・ダンストール(1254ゴール)によると、ハドソンのスタイルをまねるのは難しいと言う。「彼はいわゆる“ハド”という彼独特のスタイルを持っていて、キックの仕方も他のプレイヤーと違っていたんだ。そのスタイルは他の人がまねできるものじゃなかった。だって彼はフラットパントで蹴っていたんだから!あのキックで、あんなに正確に蹴れるのが信じられなかったよ。今のプレイヤーにも到底理解できないんじゃないかな。あの蹴り方じゃ、普通のプレイヤーではもっとキックが浮き上がってしまうよ。でも“ハド”は蹴り方を変えなかったね。」

 

正確に蹴るための大事なポイントは、蹴り足と同じ方の手で足元までボールをガイドすることだ。ゴールキックのお手本となるプレイヤーとして、セントキルダとシドニーで活躍したトニー・“プラガー”・ロケットが挙げられる。彼は現役通算1360ゴールを挙げた。「トニー・ロケットこそが最高のフルフォワードだと思うよ。」ダンストールは言う。「彼のルーティーンはとてもシンプルなんだ。そしてフォロースルーがとても美しい。私は彼をまねしていつも練習していたんだ。短く真っ直ぐな助走から、ブーツへの美しいボール運びの後、彼はまるでダーツの矢を蹴るようにボールを蹴るんだ。“プラガー”は誰よりもゴールキックがうまかった。」

 

ダンストールが言うように、ロケットの(あるいはダンストールの、ハドソンの、そしてロイドの)うまさのひとつは、真っ直ぐなアプローチとフォロースルーだ。蹴り足を振り抜かず止めてしまうのはよくない。「ゴールキックを蹴るときは、多くても2つのことまでしか考えちゃいけない。」ダンストールは言う。「2つ以上のことを考えてしまうと混乱するだけだ。私はいつも真っ直ぐ助走することとフォロースルーのことだけを考えている。私はいつも90とか95%の力で蹴りたいんだ。ゴールから20mしか離れていなくて、30m蹴れば十分なところでもね。そんな時でも、ルーティーンを守るために45mのキックを蹴るんだ。」

 

「ターゲットへ向かって真っすぐに助走をしなければならない。」ハドソンは言う。「まずターゲットを決めるんだ。ゴールアンパイアをターゲットにしちゃだめだ。彼らは動くからね。まずターゲットへ向かって真っすぐ助走し、ボールをしっかりと見ながら手からブーツに落とす。そして真っ直ぐなフォロースルーをとるんだ。」

 

ロイドはゴールキックに悩んでいた時期、ロケットを手本にするよう指導を受けた。「僕はもともとゴールキックが得意だったわけでないんだ。」ロイドは言う。「ゴールキックが得意だったチームメイトのダレン・ビュ一イックにいつも言われていたんだ‘お前はボールを高く上げすぎるから、もっと足を振り抜かなきゃいけない。’僕は昔、よくボールを弾くように蹴ってしまっていたんだ。そしてそれは緊張している証拠だった。そして2000年、アシスタントコーチだったロバート・ショーが、みんなの前に立って、僕を指して言ったんだ‘ロイディー、君はいつか大きな試合での敗因になるかもしれない。なぜなら君は、トニー・ロケットやジェイソン・ダンストールほどゴールキックの練習をしているように思えないからね。’って。」

「彼の言ったことをとても考えたよ。その年僕は100ゴールを蹴ったんだけど、そう言われたことに少し傷ついた。なぜならとてもビハインドが多かったんだ。だから、オフシーズンの間、デイビッド・ウィードン(彼の深い洞察はこの本の他のページにも納められている)に、ゴールキッキングルーティーンの練習に付き合ってもらったんだ。そのときから、キックの前に芝生を投げるのを始めたんだよ。ウィンディ―ヒルはすごく風が強いからね。」

「デイビッドは、画面の半分にロケットのキック、もう半分に僕のキックの映像を映して言ったんだ‘君のボールドロップを見てごらん、ロケットに比べて落とす位置がとても高いのがわかる?’僕はとても高い位置からボールを落としていたから、ボールが足に届くまでにぶれてしまうことが多かったんだ。一方ロケットは、蹴るときにもっと身体をボールの方にかがめていた。ボールを落とす位置とボールがブーツに当たる位置を近づけることが、決定的に僕のゴールキッキングの正確性を上げたんだ。ゴールキッキングの正確性が、2000年には64%だったのが、翌年には74%になったからね。」ロイドは2000年に109ゴール/60ビハインドだったのが、2001年には105ゴール/36ビハインドになった。

 

ウィードンは、今やAFLのコーチにとって重要なバックルームコーチ、あるいはメンターとなっている。彼には、プレイヤーが成長段階で適切なゴールキッキングの技術指導を受けていないことは、トップレベルでのゴールキックの正確性に大きな影響を与えているという信念がある。また、セットショットを蹴るプレイヤーにはとても注目が集まるため、より本能のままに蹴る通常のフィールドプレーの中でのキックとは異なったスキルが必要となる。「セットショットのとき、フィールド上はもちろん、全ての観客がたった一人のプレイヤーに注目するよね。」ウィードンは言う。「プレッシャーは自分の内側から来るんだ。プレイヤーがその状況をどう見るかによってね。動いていた試合が停止し、プレイヤーに心理的挑戦を引き起こす。ゴールキックをするプレイヤーへの注目は、脅しともいえるようなものになるんだ。」

 

「フィールドキッキングは本能的なもの、考えずにやっている。ターゲットが見えたら“バン!”だ。でも、突然考える時間ができて、どういう風に蹴ろうかということを考えると、自然とミスしたらどうなるだろうということを考え始めてしまう。そして、いつものいいキックを蹴るために余計な小細工をしようとしてしまうんだ。」とダンストールは話す。

 

ロイドは言う、「AFLレベルではゴールキックの練習がとても少なかったことに僕はショックを受けたんだ。クラブは、自主的にゴールキッキングなどの特別な練習を行うプレイヤーよりも、トレーニングメニューに忠実なプレイヤーにフォーカスするものだからね。でも、ショートゲームの練習をしないプロゴルファーはいないよね?いろんな距離からパッティングの練習をするでしょ?」

 

ロイドは、ウィードンの言う、ゴールキックの際の“心理的挑戦”に対処する方法を持っていた。「僕はスコット・ルーカス、アンガス・モンフリーズと、マークに人が立って声でプレッシャーをかける中でゴールキックを蹴る競争を、ひとり40球、週に2回エッセンドンでやっていたんだ。それでゴールキックが上達したんだよ。でも今はプレイヤーに負荷をかけるという理由で、そういうことはみんなやらないんだ。その結果として、ゴールキックの正確性を向上させようとするプレイヤーはほとんどいなくなってしまったんだ。」

 

ロイドの言う練習の重要性についてダンストールは、「私はとにかくたくさんゴールキックの練習をしたよ。でも今のプレイヤーは違うね。彼らはいつでもトレーニングだから。私のころはトレーニングの後に時間があったし、余分にトレーニングをしていい日があったんだ。だから私は、火曜日のトレーニング後と水曜日の夜の時間を、ゴールキックの練習に使っていたんだよ。それから木曜のトレーニング後にもやるようになったな。週に3回ゴールキックの練習をする機会があったんだ。だけど今のほとんどのプレイヤーは、トレーニングで既に疲れきっていて、余分な練習を許されないんだ。」

 

2014年のウィードンの本“The Art Of Coaching”は、これまで明らかにされていなかったゴールキックの技術について網羅している。ウィードンの哲学は、コーチングの要点の中の“教える”に基づいている。

 

コーチングの要点は以下の通り

  • 教える(オーガナイズするだけじゃなく)
  • プレイヤーがどれだけ学んだかを理解する
  • プレイヤーと近くで接し、何が彼をモチベートするかを理解して、ベストな方法で教える
  • キーポイントに対するタスクを単純化する
  • できるだけ試合に近い状況でゴールキックの練習をする
  • プレイヤーを励ます
  • プレイヤー同士で教え合う機会を作る

 

プレイヤーにとって、コーチと一緒になってトレーニングに取り組むときのポイントは、適切なルーティーンで、シンプルに、ターゲットに向かってまっすぐ走り、ボールがブーツに当たるまで見て、(脚を止めないように)蹴り上げる。どんなにゴールに近くても同じように行わなければならない。気持ちを落ち着け、プレッシャーに負けないことも同じく重要だ。

 

偉業を達成するには、素晴らしいお手本を見ることが有益である。最近のAFLプレイヤーでは、メルボルンのジェス・ホーガン、GWSのジェレミー・キャメロン、キャム・マッカーシー、ホーソンのルーク・ブルースト、ジャック・ガンストンを見ると良いだろう。

 

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